敦煌――。ゴビ砂漠の中にあるこの町は、祁連山の雪解け水によって潤(rùn)されるオアシス都市である。
古代シルクロードを行き交う人々が必ず通ったという河西回廊。その西の端に位置するこの町が「敦煌」と呼ばれるようになったのは、漢の時(shí)代のこと。その意味については、史書(shū)に「敦はすわなち大なり、煌はすなわち盛なり」との記述が殘っている。西暦111年に敦煌郡が置かれて以來(lái)、この町はシルクロードの要衝の地として栄えた。
シルクロードを通って中國(guó)の文化や特産物、とりわけ絹や絹製品が中央アジアやヨーロッパに伝えられた一方、外國(guó)の文化や物産、特にインドの仏教が中國(guó)中原地方に入ってきたことはよく知られている。
仏教の特徴の一つとして、蕓術(shù)を使って仏陀の思想を巧みに表現(xiàn)してきたことがあげられよう。そうした仏教蕓術(shù)は中國(guó)の伝統(tǒng)文化と融合し、シルクロードの沿線に數(shù)々の石窟文化を殘した。それらの石窟の中でも、歴史の古さと內(nèi)容の充実度、規(guī)模の大きさ、保存狀態(tài)の良さで特に知られているのが、莫高窟をはじめとする敦煌の石窟だ。
莫高窟（通稱千仏洞）は西暦366年に造営が始まって以來(lái)、北涼、北魏、北周、隋、唐、宋、回鶻、西夏、元など、十以上の王朝や地方政権の下で拡張されていった。現(xiàn)存する洞窟は計(jì)492、彩色塑像は二千體以上、壁畫(huà)の総面積は四萬(wàn)五千平方?を超える。莫高窟は壁畫(huà)の內(nèi)容の豊かさで知られ、仏菩薩像、仏伝故事畫(huà)、経変畫(huà)、神話を題材にした絵畫(huà)、各種の裝飾図案などが多く見(jiàn)られる。
出立する王の姿、楽団や舞踴団、農(nóng)作業(yè)や狩猟の様子、シルクロードを行き來(lái)する各國(guó)の商人の生活など、創(chuàng)作年代の異なる壁畫(huà)は、それぞれの時(shí)代の各民族、各階層の人々の生活を反映している。ある外國(guó)の學(xué)者は、莫高窟の壁畫(huà)を「壁面の図書(shū)館」と形容した。
二十世紀(jì)初めに発見(jiàn)された蔵経洞では、五萬(wàn)點(diǎn)近い手書(shū)きの文獻(xiàn)やその他の文化財(cái)が見(jiàn)つかった。絹畫(huà)、版畫(huà)、刺繍、書(shū)道蕓術(shù)だけでも千點(diǎn)以上あり、もしこれらの蕓術(shù)品を一點(diǎn)一點(diǎn)橫に並べると、全長(zhǎng)二十五?にも及ぶ絵の回廊ができるという。 莫高窟は、もともと海もしくは湖の中に堆積していた礫巖に掘られた洞窟だ。巖盤が堅(jiān)固ではない上、これまで何度も地震に見(jiàn)舞われている。にもかかわらず、その壁面が今も基本的に唐代の狀態(tài)を保っているのは、この土地は雨が少なく、乾燥していたことによる。
1940年代、中國(guó)は莫高窟に初めて敦煌蕓術(shù)研究所を設(shè)立。新中國(guó)成立後、莫高窟の全面的な修復(fù)?補(bǔ)強(qiáng)作業(yè)が進(jìn)み、39の洞窟、計(jì)千八百平方?の壁畫(huà)、二百體あまりの塑像が風(fēng)化や崩壊の危機(jī)から逃れた。敦煌蕓術(shù)の重要な一部分である西千仏洞と安西楡林窟も修復(fù)を経て、現(xiàn)在は一般開(kāi)放されている。
敦煌の石窟は中華民族の寶であり、また全人類の文化遺産でもある。1961年、莫高窟は國(guó)務(wù)院が最初に指定した全國(guó)重點(diǎn)文化財(cái)保護(hù)単位の中に入り、1991年にはユネスコの「世界自然と文化遺産」のリストに登録された。
「人民中國(guó)」より 2004年11月12日
